部門別:私のヒッチコック作品鑑賞リスト

いくつかの部門に分けて、鑑賞してきたヒッチコック作品のオススメ順に取り上げる。部門別、オススメ順としたのは軸が多いほうが記事にしやすかったという以上の理由はない。好みの問題だ。また、言うまでもなく恣意的なカテゴリーかつランキングで、ほかにも方法はたくさんあるだろうけれど、これが私のヒッチコック星だ。

なお、ランキングのリンク先は私の感想記事になるので注意されたし。

【巻き込まれ男女の珍道中】部門

ヒッチコック作品の典型にして、初期時からほぼ完成形と思われる「男と女」が何かしらの事件に巻き込まれて、そこから困難を経て事件を解決に導いていく、パターンの作品となる。以下の 3 作をピックアップした。

なんだかんだで、最初期の作品《三十九夜》を 1位 としたい。完成している。そしてオチが好き。《白い恐怖》は「信用できない男」部門でもよかったが、この部門のノミネートが少ないのでこちらに置いた。《逃走迷路》は、西海岸から東海岸へ縦断ツアーするのが好きです-そのものの描写があるわけではないけれど。

  1. 《三十九夜 The 39 Steps》(1935)
  2. 《白い恐怖 Spellbound》(1945)
  3. 《逃走迷路 Saboteur》(1942)

【予測不可能なサスペンス】部門

サスペンス作品のうち、あえて展開が読みづらい作品として部門を設けた。要点としては犯人がよくわからん類のストーリーとしている。《救命艇》を 3 位としたけれど、あの重苦しい空気はキライじゃない。が、やっぱり 1位 は大掛かりなセットが見ものの《裏窓》かな。《バルカン超特急》も好きだけれど、ここでの他 2 作と比べると、個人的にはそこまでプライオリティがない。

  1. 《裏窓 Rear Window》(1954)
  2. 《バルカン超特急 The Lady Vanishes》(1938)
  3. 《救命艇 Lifeboat》(1943)

【薄氷を踏むような展開】部門

同じサスペンスでも、こちらは鑑賞者にも全体の状況が分かっている作品として部門とした。圧倒的に《私は告白する》を推したい。扱っているテーマ、舞台設定、カメラワークなどなどいずれをとっても面白い。次点以下の《ロープ》《ダイヤルMを廻せ!》も完全におもしろい。《見知らぬ乗客》は比べると、やや見劣りするか。

  1. 《私は告白する I Confess》(1953)
  2. 《ロープ Rope》(1948)
  3. 《ダイヤルMを廻せ! Dial M for Murder》(1954)
  4. 《見知らぬ乗客 Strangers on a Train》(1951)

【キング オブ 頭おかしい】部門

途中で全体像がおよそ掴めるタイプの作品でもあるが、基本的には犯人がヤベェ作品とした。どちらも歴代としてみると最後のほうの作品なので、時代性なんかもあるんだろうか。どちらも好きだけど、あえてのモノクロ、クライマックスの一瞬の狂気ということで《サイコ》を推したい。《フレンジー》のじゃがいも遊びも好きだけどね。

ていうかこの 2 作品で 12 年もギャップがあるのか。

  1. 《サイコ Psycho》(1960)
  2. 《フレンジー Frenzy》(1972)

【信用できない男】部門

巻き込まれパターンのうち、男がどうにも信用できないパターンの作品を取り上げる。《汚名》と《引き裂かれたカーテン》は別部門でもよさそうだが、ここに配置した。そのうえで比べてみると、鑑賞時はそこまで好きとも思わなかったが、《汚名》は好いとあらためて実感した。

《レベッカ》《断崖》は、ジリジリとした展開が馴染めばおもしろいが、これら以下の作品もなんとなく展開がじれったい気がする。あまり得意ではない作品が比較的多いなという自覚を得られた。

  1. 《汚名 Notorious》(1946)
  2. 《レベッカ Rebecca》(1940)
  3. 《断崖 Suspicion》(1941)
  4. 《舞台恐怖症 Stage Fright》(1950)
  5. 《引き裂かれたカーテン Torn Curtain》(1966)

【信用できない女】部門

上の部門とは反対に、男は女に尽くそうとするが、その女は信用に値するのか? というパターンを取り上げる。この視点で捉えられる作品も案外少なくないので驚いた。

世評はあまり高くないらしいが歴史物、ユニークさという点でもって《山羊座のもとに》を推したい。珍しく人間ドラマが中心といってもいいのではないかな。エンディングのカラッとした感じも好きだ。

《マーニー》《めまい》も大好きだよ。《北北西に進路を取れ》は、個人的にはこの部門なのだよね。本作において世間的に評価されている要素って、《三十九夜》と《泥棒成金》のほうが面白いぞ、というのが持論です。

  1. 《山羊座のもとに Under Capricorn》(1949)
  2. 《マーニー Marnie》(1964)
  3. 《めまい Vertigo》(1958)
  4. 《北北西に進路を取れ North by Northwest》(1959)
  5. 《パラダイン夫人の恋 The Paradine Case》(1947)

【頭からっぽで楽しもう】部門

もっとも重複を許す部門だ。逆に、それだけ総合的に評価しやすいということだ。他部門含めても屈指で熱中できた《泥棒成金》をトップとしたい。いや、おもしろいよ。主役のダンディさ、身体性、ユーモア、ほろ苦さ、ロマンス、ほぼ全部入りです。

社会情勢を扱ったサスペンスも多いが、そのなかでは《トパーズ》が 1番 かな。これも最後のほうの作品である要因が大きいのか、いい意味で、割と脚本がちゃんとしていて気持ちがいい。他がちゃんとしていないという意味ではなく、なんとなく整合性の部分の詰めが見えるというくらいのニュアンスだ。

上記以降の作品もどれも無難に面白い。

  1. 《泥棒成金 To Catch a Thief》(1955)
  2. 《トパーズ Topaz》(1969)
  3. 《ファミリー・プロット Family Plot》(1976)
  4. 《海外特派員 Foreign Correspondent》(1940)
  5. 《知りすぎていた男 The Man Who Knew Too Much》(1956)

【オリジナリティにしびれろ】部門

ここまでの部門のどこにも入れがたい作品を扱う。《鳥》なんていうのは典型で、諸要素には他作品でも用いられているモチーフが少なくはないが、全体としては鳥じゃん。ていうか、鳥じゃん。最後のほうとかよくわからんし。

1位 としては《ハリーの災難》を挙げたい。シュールなコメディとして大変面白いし、なにより画面がずっとキレイなのが好い。ちょっとホラー味があるのも好きだ。

《間違えられた男》はヒッチコックに限らず映画全体からみれば特に珍しいテーマとも思えないが-どうだろうか。他部門でもよかったが「実話をもとにしたフィクション」と監督が冒頭で解説する特徴もあって、あえてここに配置した。こちらも好きな作品だが、まぁここに。

  1. 《ハリーの災難 The Trouble with Harry》(1955)
  2. 《鳥 The Birds》(1963)
  3. 《間違えられた男 The Wrong Man》(1956)

というわけで、以上となる。この記事によって、とりえあずではあるが、ようやくヒッチコックマラソンの自分なりの振り返りができた。ほなまた。