誰も何も見たがらない|《攻殻機動隊_2045_持続可能戦争》

NETFLIX で配信の『攻殻機動隊_2045_持続可能戦争』が総集編劇場版となっていた。それを観た。総集編としての編集、劇場版としてのパッケージ向けには監督として藤井道人がオファーされたらしい。

藤井道人については何かを受賞した《新聞記者》(2019)は映像としてはそこそこ面白かったが、ともかく内容がてんでなぁ、という印象で、《ヤクザと家族》(2021)は未見だが、こちらも自分の見聞する範囲では賛否両論をみた。ところで、個人的には《宇宙で一番あかるい屋根》(2020)は好きなんすよね。

なぜ彼が監督してオファーされたかは、以下の記事で説明されている。

以下の記事は、監督へのインタビューだ。

ざっくりとした全体感

物語の大筋は、電脳化した人間の一部が異常な発熱を経てポストヒューマンに、ざっくり言うと過去シリーズの難敵をさらに超えた超人類が出現し、社会に謀反を引き起こす、という立て付けだ。

前シリーズ(どれだっけ?)で国内の公的な仕事から去った 9 課の主要メンバーは、米国で傭兵稼業に勤しんでいた。そして同国でポストヒューマンの鹵獲作戦に巻き込まれ、巡り巡っては日本国内で同じ任務に継続して就くことになるという経緯だ。

基本的には、全 12 話を 2 時間にまとめた内容なので、話の展開が濃厚というか、なかな忙しい。じんわりと長く感じる。監督へのインタビューで語られているが、米国での事件、日本でのポストヒューマンへの対処が 2 時間の半々になっている。

前半は傭兵部隊のバッチバチの戦闘メイン、後半はポストヒューマンとの追いかけっこ、またはそれぞれのポストヒューマンの背景事情のような物語への重みづけが描かれる。駆け足感の一言で済むが、前半と後半でストーリーのテンションが違うのが、良くも悪くも本作の味になっている。

少佐とトグサのバランス

過去シリーズでの、そしてそれらと本作との関係性にあまり自信はないが、元メンバー警察出身のトグサは、彼なりの役割を期待され、それに応えて貢献しつつも、構造としては唯一の家庭持ち、一般人寄りの視点を担わされている。

本作でもそれはバリバリ機能していて、ポストヒューマンになってしまった少年とその家族への共感、そして彼ら側へのアプローチは物理的にはトグサに配役されている。

これ、過去シリーズの例を見渡すと、微妙にズレが起きている気はしている。というのも、従来は敵側に立場も近く、彼らの本質めいた部分にもっとも接近したのは、基本的には草薙素子だった。今回も原理上はそうであってもおかしくないし、今後の展開ではそのような事態にもなろうが、現時点ではポストヒューマンと草薙素子の性質はほぼ相容れない。おもしろいよなぁ。

電脳戦ですらポストヒューマンに、ほぼ侵略されかけた描写すらあった草薙素子だが、これいつものようなオチになるのなら最終的には彼女は、ポストヒューマンたちの深淵みたいのを覗くのだろうか。

話を戻すが、草薙が敵対する組織や人物に対して最終的にはメタ的な同化を試みる一方で、トグサは常にベタに歩み寄ろうとする。この構図が大枠として守られる限りは、シリーズが崩れることもなかろうさ、とは感じるが、大きなどんでん返しもあるかもしれない?

フル 3DCG の攻殻機動隊

攻殻機動隊で フル 3DCG のアニメーションは初めてなんでしたっけ?

まぁ違和感は大きい。特に序盤、特に人物の描画と動きはそんなによくないように映るのは否めない。さらに荒巻部長はモデルがどうなのという感じで、これは最初から最後まで違和感の塊である。

しかし、おもしろいのは、タチコマやドローン、パワードスーツ、アンドロイドなどの未来的または現代でも先端的なマシンの動きは違和感が小さい。あるいは脳が違和感と受け取れないのかな?

一方、バギーやスポーツカーのようなオブジェクトを仮に中間とすると、これらも割と違和感がある。面白いな。歴代の PlayStation を持ち出して比較するひとも多く、その気持ちも分からないでもない。

個人的には、物語の進行に伴って製作側の進歩、視聴の慣れも加わって、それほど気にならなくなっていった。劇場版用の追加シーンもあったろう。クライマックスのシーンも追加だと思うが、妙に美しかったねぇ。

妙に美しかったといえば、作中での展開としても、3DCG を駆使した映像としても、少年の母親が泣き崩れるシーンがもっとも好きだね。

ついでに述べておくと草薙素子だけは別格に、手を掛けられていることも明白で笑ってまう。それはそれで当然なのだが。

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今回のテーマや作風がどうなの? みたいな声も目にするけれど、各々のポストヒューマンにも個性があり、ついては少年の目指すところがどのように描かれるかは気になるところで、タイトルの「持続可能戦争」にどのような意味付けがされるのか、続編では期待したい。

この文章を大方まで書き上げたところで、以下のレビューを読んだが、まぁ大体みんな同じ感想にはなるよね。

上のレビューでは、最後にもっともな問題提起がなされているように思う。しかして、諸々が話題にするところの「リアリティ」の切り取り方って、難しいテーマであることよな。

雑に終わり。