映画なのか? 『水戸黄門』(1978)を観た。特に副題も無いので、1978年の作品というほかないが、黄門さまを演じるのは東野英治郎なので、そのへんのシーズンの作品だ。ついでに、私がはじめて見た水戸黄門は、佐野浅夫のシーズンと思われ、東野英治郎は別の再放送枠でのちに見たが、印象が変わってしまったので苦手だった。

また、今回の映画の座組の段階だと、まだ間者は、風車の弥七だけで、ほかの忍者2人は出てこない。なるほどなぁ。新キャストが加わったのは、いつからなんだろう。

冒頭、山中での殺陣からはじまり、おぉ、割とお金をかけているなというシーンが続くが、謎の山小屋あたりでいったん力尽きる。ゲストヒロインで家老の娘、奥村由美(栗原小巻)が従者をひとり失ってまで、西山荘にやってくる。大変なことだ。

加賀藩でクーデターが起きそうだと、黄門さまチームは出掛けることを決める。Googleで調べたが、現代でも歩いて5日くらいで水戸から加賀のあたりまで着くらしい。東京から向かうよりは1、2日分くらいは近いんだろうか。思ったよりも、早い。

物語の前半(というかほとんど)は、柏崎での滞在で起こる事件で消化される。ギャグパートと言っていいだろう、大本の事件よりもメンバーが活躍していると言っても過言ではないくらいだ。まぁ、ファンムービーなので。偽物御一行の3人衆をハナ肇、植木等、谷啓が演じているとのことで、わたしはパッとはわからないが、往年のスターというのはわかるので、世代には直撃なのだろう。コミカルな演技はよかった。

感心していたのは、この偽物たち、最初から狙って偽物をやっていたわけではなく(少なくともそういう態度だった)、あくまで宿屋側の勘違いに巻き込まれるかたちで騒動になる風になっている。冷静にツッコむと「そんなわけない」が、ここに悪意のある人間たちを持ってくるとバランスが崩れるので、あくまでコメディパートというメリハリを意識したうえで、ということで演出の意図は共有されていそうだった。

一方のシリアスパートだが、奥村由美の父、加賀藩の家老は奥村作左衛門も襲撃にあうが、孤軍奮闘でこれを退ける。殺陣が妙に迫力があって、どうしたと思っていたら、役者が三船敏郎だった。厳格な雰囲気がずーっとこわくて、シリアスパートとはいえどうも作品の空気にあわない重厚さだと感じていたら、そういうことだった。

一件落着、食事をもてなされるシーンもそこそこ、すぐに脱出して水戸に戻ろうというチームの雰囲気が作風を一番象徴していたな。

Comments are closed.

Close Search Window