『マダム・ウェブ』を観る。別にマーベルファンでもスパイダーマンファンでもないし、ダコタ・ジョンソンのファンでもないが、なんとなく面白そうだなと思ったんだよね。期待に比しては、そこそこ。というか、まぁこんなもんだろくらいの結果だったので上々でしょうか。本国ではあまりお客が入っていないということだし、脚本が揺らいだりということらしいので、なかなか正面から向き合うのも難しそうだが。

彼女の能力がこういった系のフィクションのなかでどれくらい珍しいのかなというのが気になっていた。未来予知の能力といっても発現のしかたというのは一様ではないだろうし、作品の表現としての視点というのももちろんあるが、あんまり似たような感じの能力がイメージできなかった。ま、そこまで詰めてないのかもしれない。

しかし、過去の母のエピソードにおけるそれは、「あぁ、『進撃の巨人』で見たような感じだな」となったし、しかしあの作品の能力もなかなかピーキーだったので、やっぱり新しいタイプの未来予知なのかなとも思った。誰かの感想では、タイムリープと言っているひともいたが、それはそうでもないような気はする。いずれにメディアでも、そうは説明されてないし。

もうひとつ思ったのは、日本の特撮との比較で、これはもう美学の問題みたいなのもあると思うが、画面が高級そうなら陳腐な設定や展開でもそれなりにパリッとした映画に見えるんだよなということ。『シン・仮面ライダー』を連想しながらスクリーンを眺めている瞬間があった。

たとえば、キャシーがペルー共和国に飛ぶシーンがあるワケですが、3人の少女をベンに預けるわけ。この辺の展開は割とざっくり、ざっくりし過ぎている。当然、無視すべきだし、無視していいし、「まぁこんなもんだよな」の範疇ではあるのだが、こういうとこだぞ、なんだよな。盗んだタクシーを乗り回せすぎている。

比して『シン・仮面ライダー』なんてのは、あえて敵の基地とかそこへの道程だとか、細かいところはすっぱり切って意味不明なことをやっている。でもこれは過去の作品がそうせざるを得なかったという前提まで込みで、狙ってやってるので、そういう風に受け取るだけ、そうするしかない。

要するに、前者は苦肉の策なんだろうけど、後者は狙ってやってるんだろうが、総じて前者の方がちゃんとした映画には見えるんだよなぁ、という感触の話でした。

キャストは総じてよかったなと思うけれど、この座組で続編はなさそうとはいえ、ダコタ・ジョンソンがグラサンして座りっぱなしのキャラクターになっちゃったのは贅沢というか、もったないなぁという感想は残りましたね。

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