『レザボア・ドッグス』を観る。クエンティン・タランティーノの出世作だそうで、90分という小作品。お金がかかってないこともよくわかるが、そうはいっても安っぽさは感じない。もともとイイ話の類ではないだろうなとは思っていたが、なるほど黒服まとって宝石強盗とな。

で、作戦は失敗に終わり、合流地点の廃工場でいざこざが繰り広げられる。つまり、裏切者がいたのではないか、それは誰か、が一応は話の焦点ではあるのだが、全員が揃っているワケでもないし、1人は瀕死だし、怒りと感情、暴力の入り交じった争いが破局を迎えるまでを描く。

仲間は6人:コードネームとして色で呼ばれたが、冒頭でブルーとブラウンが亡くなり、残りの4人(白、茶、桃、橙)に加えて計画側の2名(ジョーとエディ)、拉致された警官1名(ナッシュ)、これらが登場人物になる。ちなみに舞台はロサンゼルスだそうです。

裏切者の真相、ブラウンの狂気じみた行動スタイル、それによって引き起こされるタランティーノ然とした暴力? とか、いろいろとおもしろいんだけど、どうも私は、この杜撰な結果に終わった作戦がどうやって形成されたのかが気になっている。

オレンジが潜入のためにそれなりに時間をかけていたのも確からしく、計画の発案者にしてリーダー、黒幕のジョーは人選からいろいろとやっていたようだが、彼の潜入を防げず、見抜けなかったことを悔いている。

しかし、いずれにせよ計画は失敗したとはいえ、事件を大事にしたのはどう考えてもブラウンで、そこはどうなんだという視点は最終的にはどうでもよくなっちゃってるけど、どうなんですかね。

冒頭、ホワイトとピンクの意見はさっそく食い違っており、「警報が鳴ってからブラウンが発砲した」「ブラウンは警報が鳴る前に撃った」とすれ違う。

そもそも警官が包囲していたという前提、そしてブラウンの証言を信じるとすれば、警報と銃を抜いたのはほぼ同時というか、彼は作戦の失敗を自覚したからこそ行動を変更したということになる。あくまで好意的に解釈すれば、だが。

ほんならブラウンは悪くないんか? と視点も生じうるが、究極的には誰も死なないならそれが一番いいに決まってる。ピンクが最後にどうなったかはわからないけど、まぁおそらくダメだったろう、チーム:レザボア・ドッグス見事に散りけり。

で、私には、エディがよくわからない。ジョーの息子であるからして身内びいきというのはあるとはいえ、まったくの無能ということもないだろうが、こいつがブラウンを引き入れたのが本作のキモなんじゃないのか、という話で。

ジョーとエディは、ブラウンが罪を背負って4年間の監獄入りをしてくれたから捜査の手から逃れられた恩があるという。それがどういったアレだったのかはしらないが、回想時のプロレスごっこといい、エディとブラウンは、少なくともエディ側からは親身心があったとわかる。

で、エディは親父:ジョーに提案するんだよね、ブラウンも作戦に入れればいいと。それがそもそもミスキャストだったので、ジョーがこれをどう捉えていたのかはまったくわからないが、結局受け入れてるわけで、実行時はほとんどエディに任せるからいいか、となっていたとしてもやっぱり詰めが甘い。オレンジの件のほうがなんぼかマシ、とすら思う。

まぁなんだかんだで面白かった。

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