《ドンバス》を観た。
ウクライナ、ロシアの情勢だが、ハッキリ言って疲れている、といっても過言では無かろう。もちろん、現地の悲劇や苦痛は想像を絶する。残念な事態である。
蓄積された情報も素人には捌ききれないほど増え、侵略戦争は継続しており終わりが見えそうもなく、ゼレンスキー氏の叫びもこれだけ続くと見慣れたものになってしまった。
で、本作だが、ウクライナのセルゲイ・ロズニツァという監督のドキュメンタリー調の風刺的な作品だった。2018 年だ。製作にはウクライナの他、ドイツ、フランス、オランダときて、ルーマニアも関わっている。ルーマニア、どういう経緯なんだろうか。
2014 年に起きたクリミア半島およびウクライナ東部の騒動を経て、クリミア半島はサラッとロシアに併合されたようだが、ウクライナ東部は膠着状態が続いている。で、その東部地域がドンバスだ。
本作は膠着状態が続いているなかでの作品という位置づけになろう。で、言うまでもなく 2022 年にかけて正面化した武力衝突、もとい侵略が日本での上映にも繋がったという流れだ。
最新の事態は、戦闘地域を東南部に拡げ、黒海沿岸地帯までが争点になっている、という感じでとりあえずはいいのだろうか。
映画の話に戻る。
オムニバスと言っていいのか、途中でウトウトした瞬間もあったが、長短あれど 15 前後のエピソードが描かれる。それぞれが微妙に繋がっている場合もあるようだが、一貫しているわけでもなさそう。
印象に残ったのは、懲罰隊(翻訳があっているのか少し疑問)として街路に晒されるウクライナ側(であっているよな)に与したとされる兵士のエピソード、発見された盗難車がそのまま徴用される男のエピソードかな。
人間の愚かさと、戦争の不条理さがよく滲んでいた。
本作そのものはあくまでもフィクションであり、特に冒頭の撮影シーンとエンディングの撮影シーンの構造がそれを示しており、悪趣味ながらも本作の矜持という面もあったかなと。
だが、描かれたことはほとんど実際に起きたこと、起きていることを土台にしている。うーん、。
日本の近作だとあまり比較にはあげたくないが《新聞記者》(2019)が仕立てとしては遠くはないのかもしれない。
なかなか受容が難しい。記録まで。
- 撮影
- 議会
- 病院
- バス
- 記者
- 避難壕
- 聖なる何とか
- 記者2
- 懲罰隊
- 車の徴用
- 結婚式
- 車をランチャー
- バス
- 撮影2
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Last modified: 2022-07-04