子供を失う作品についてのメモをとる

2019 年には少しペースが落ちたと思うが、2016 年くらいから意識的に新作映画を観る機会を増やしている。で、「子供を失う話」について考えていた。作品の要素として「子供を失う」という題材、振り返ってみると「多いのでは?」という話だ。以下は自分のイメージに該当した作品のリストだ。括弧内は制作年となっており、日本公開が 1 年ずれていたりするので、まぁ大体のアレです。ネタバレを含むので注意されたい。

  • 《マンチェスター・バイ・ザ・シー》(2016)
  • 《メッセージ》(2016)
  • 《ウインド・リバー》(2017)
  • 《運命は踊る》(2017)
  • 《スリー・ビルボード》(2017)
  • 《search/サーチ》(2018)
  • 《ファースト・マン》(2018)
  • 《へレディタリー 継承》(2018)

《マンチェスター・バイ・ザ・シー》

甥の後見人となっていた主人公。父親を失った甥との距離感に苦しむが、彼自身が 2 子を失っていた事実が終盤で明かされる。火災による事故だ。どうした設定か、昇華しきれない苦しみがある。主人公は子を失った地に滞在すること能わず、甥との生活を断念するが、最後に僅かでも心の交流があった。

《メッセージ》

邦訳の最新作『息吹』が発売されたテッド・チャンの傑作映画化だが、SF 的なトリッキーさで娘が亡くなったことと、主人公によって解明される事実が明かになっていく。この娘は難病で亡くなる。映画版は、娘のエピソードは脇役になっているが、原作はどちらかというと娘への伝言という体裁だったか。

《ウインド・リバー》

主人公の娘が亡くなるわけではないが、と思ってあらすじを確認したら、やはりこちらも主人公の娘が亡くなっていた。記憶とは曖昧なものだ。暴行によるものだ。ワイオミング州のネイティブ・アメリカン地区での悲劇をサスペンス、アクションなどであしらった社会派作品で、テーマは相当に重たいが、よく出来てきて、かなり好きな作品だ。なお、ワインスタイン配給の映画というなんという皮肉か。

《運命は踊る》

この映画もめちゃくちゃいい。イスラエル映画だ。この作品では主人公の息子が亡くなる。結論から言うと交通事故だ。中盤まで本当に亡くなったのか、どうして亡くなったのかよく分からない。そして事態は反転し、逆回転する。憔悴する主人公と妻との関係性に重きがある。息子の死はある事件の報いのような部分も感じられるが、これは日本人なり私なりの感性の問題のような気もする。

《スリー・ビルボード》

主人公の娘が亡くなる。これも暴行によるものだったと記憶しているが、炎上により詳細は判明していないんだっけな。《ウインド・リバー》同様に社会派の作品だが、表層的にはもっと混沌としている。エンディングの余韻がいいんだが、モヤモヤとさせられる作品ではあった。狙いは抽象的なところなのかな。

《search/サーチ》

この作品はこのリスト中では例外的で、実は娘は失われていない。最後に救出される。娘が帰ってこない父の不安と焦燥をコンピューター画面越しに描写するという妙技がキモの作品だ。父子家庭なりの苦しみがある。あらすじを思い出していたのだが、まぁ真っ当なエンターテインメントらしい結末だったな。

《ファースト・マン》

これは実話がベースなのだが、つまりアポロ 11 号のニール・アームストロング機長の娘、カレン・アームストロングがわずか 2 歳で亡くなっている。本作の月探査の情景は、娘の死と重なり合うところが大きいように描かれていた。そして帰還後の融和よ。しかし、調べてみると後年離婚しているようだ。

《へレディタリー 継承》

ホラー映画だが、主人公の娘が亡くなる。というか家族がほぼ全滅する。演出の妙というか広告の妙というか、娘にはもっと役割があるのかと思ったらそうでもなかった。そういう肩透かしを狙っているのか、私の勝手な思い込みか。なんで大ヒットしたのかよくわからないんだよなぁ。悪魔崇拝とか知らんわ。

まとめのようなメモ

というわけで、ジャンルに関わらず子が亡くなる作品というのはたくさんある。社会派作品の主眼は暴行の被害となる女子などであることが少なくなさそうだが、どうなんだろう。また、これも言うまでもなさそうだが、親のエゴやある種の怠慢によっての落命なども目に入る。今回のリストには病死も 2 件あった。

子の 1 番の親孝行は親よりも長生きすること、とはよく言ったもので、逆に言えば親にとっての最大の不幸のひとつが子を失うことだろう。作品のテーマがどこにあろうとも、フィクションにおいて大きなフックとなり得る要素であることに違いはないものな。

ところで、この期間に鑑賞した日本の映画( 2016 – 2019 くらい)でそういった作品を観ていない気がする。自分がそういう作品に触れていないだけだろうが、どういう作品をリストアップできるだろうか。家族を扱った作品はいくつでもあるように思うが、どうだろう。未見だが《人魚の眠る家》(2018)は、そのような話といえるのかもしれない。見てみるか。

しかし、どうしても《攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL》のあのセリフが思い浮かんでしまう。「まるで天使みたいに笑って」。