2023年の年始に《サウンド・オブ・サイレンス》を観た。

マイケル・ダグラスを再認識した記念すべき作品になった。昔は TV で放送される洋画でよく名前を見たけれど、幼く、俳優を意識するまではなかったので、いい機会にはなった。この映画が配信サービスでサジェストされた理由は《アンディ・ガルシア 沈黙の行方》を見たからだろう。

ということで、精神科医が主役であって、なんかわからんが質の悪い精神科病棟に幽閉された若い女の子のカウンセリングを元同僚だかに依頼される。この時点で主人公は既に犯罪へ加担させられかけており、つまるところ強盗団の隠し財産を知るのは、この正気を失った少女だけだという事実と直面するわけだ。

人質にされたのは骨折して自宅療養中の妻と、幼児の娘だ。この慌ただしい設定と状況が端的に描かれる序中盤は、フィクションなりに展開が纏まっていて上手い。病棟の少女は異常を演じているだけだという見立てを得るまでの展開も悪くはない。だがやはり徐々にして、彼女を連れだして事件解決に奔走し始めるあたりから絵空ごと感が強まり、なんだかなという印象になってくる。が、見れなくはない。

オチにかかわる設定として重要なのは、暗号を知っていた少女の父は、無縁仏としてハート島に埋葬されたという点だ。ハート島って、ニューヨークの片隅にある小さな島ですけど、長い歴史に渡って後ろ暗い役割を背負わされてきたっていう曰くがある。

この島が、フィクションなどのアイデアでどれだけ活用されているのかは知らんけど、安易に扱われるべき対象であることは確かだろうし、いわゆるダークツーリズムの対象としうるロケーションなんだろうなと、いろいろとイメージされる。映画本編よりもこちらに気が向いてしまった。

まぁ、なんのかんのあって事件は解決するのであった。

皆さんの感想を読んでいて知ったのだが、この映画で活躍した病棟に幽閉されていた少女役の俳優さんも、娘役の俳優さんもどちらも若くして亡くなっている。なんというかただ寂しいという以上に言えることも無いが、ついこの前に公開され、鑑賞した《逆転のトライアングル》のヒロインの女性も若くして亡くなっているし、偶々とはいえ、なんかね、残念だね。

ちなみに本作の原題は《Don’t Say A Word》というらしく、似たような気がする別のタイトルに地味に変更されているが、そのまま邦題にするには語感がイマイチな気はするのでわからなくはない。

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