2023年の年始のどこかで《孤狼の血》を観た。配信がちょうど開始されたのか、犯罪映画の系列でおすすめに表示されたか。本作、立て付けはヤクザを相手取る刑事の映画ではあるけれど、大枠ではヤクザ映画なんでしょうか。このへんの作品の系譜というのが地味にわからない。先に《すばらしき世界》を見ちゃってるので、変幻自在の大俳優:役所広司って凄いなってなりますな。

同主演の松坂桃李は、2017~2019 年の映画ではよく見た。《ユリゴコロ》《不能犯》《居眠り磐音》《新聞記者》かな。今回の《孤狼の血》もこのリスト中に収まる時系列らしく、2018年の映画だ。いや、滅茶苦茶に出演してるなぁ。脂がのっている俳優であることだ。

で、役所広司の演じるベテランのマル暴刑事:大上と松坂桃李の演じる新人配属の日岡のタッグが広島は呉の抗争を止めんとする話、といっていいかな。

暴力や違法行為上等で捜査を進める大上についていけない日岡だが、なんやかんや尊敬できる面を見出していく。一方で、抗争-というか実質は片方の組が仕掛けた殲滅戦なんだけども―を止めようと大上がギリギリの交渉に出るものの失敗。港で水死体として発見される。悲しい。

この大上の最期の交渉はワンカットがチラッと映されるくらいで、どういうやり取りが為されたのかは描かれない。原作はどうだったんだろうかとも思うが、大上が最期に受けたであろうリンチを含め、そこは描かないほうが鑑賞者の想像力をかき立てる仕組みにはなっていたのだろうな。

好きなシーンはいくつかあって、大上亡き後に証拠を探しに養豚場の砂場を必死に宝探しする日岡。そこで発見する痕跡。養豚場の若旦那をボッコボコにする日岡。ここの展開のグロテスクさというか、作中の暴力表現でもっともエグかったのはここじゃないのかな。日岡もまともなキャリアを捨てたなという重要な部分であった。

大上の無念と復讐を果たすために準備を進める日岡。このとき、ピエール瀧の演じる右翼団体のリーダー:瀧井と相談をするシーンがある。このロケーションがいい。海上釣堀でいいのかね、映画のために用意したセットでもないのだろうけど、島状になった木材のうえで 2 人はなんやかんや相談している。いい。広島、行きたいなぁ。

で、《孤老の血 LEVEL2》も配信されているけれど、こちらは未だ見ていない。

原作は 3 部作で続編にも日岡は出るようだが、映画の続編はオリジナルらしく、時系列的には原作 2 部の前のことになるようだが、トレーラーをみると、アクション映画のような派手な箇所がよく目に留まる。鈴木亮平の演技が評判だが、どうなのかね。

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