森田剛の怪演が光るという《ヒメアノ〜ル》を2023年の年始に観た。

総論としては、ムロツヨシが印象の大きい。彼自身の存在感という意味でも、与えられた役柄、その演技という意味でも、とぼけ感を大きめに出したのだろう灰汁の強さが頭から離れない。ちょっと不愉快ですらある。彼がもっと普通だったら、この作品ももっと普通だったのかもしれない、それでいいのかも想像しづらく、つまりムロツヨシの映画になってしまったと言いたい。

原作の漫画は古谷実ということで、『行け!稲中卓球部』が 1 番有名だろうか。ちゃんと読んだ作品はなくて、望月峯太郎っぽい絵柄だよなと思ったら、Wikipedia に当漫画家のファンであるという情報が載っていた。と同時に、原作から映画化に際しては物語と設定が簡略化(と言っていいのか)、改変がかなり為されているようで、作品体験の印象も大きく異なりそうだ。

うーん、原作を読んだ方がいい気がしてきた。

包丁を持ち出せば油断している警官には勝てるけど、ヤンキー2人相手にはカッターナイフでは勝てないというのはリアリティがあるのか、ないのか、それがよくわからなかったけど、まぁいいか。

映画のラストが何気に好きで、原作だと生来のおかしな人間だったらしい森田正一が、映画ではイジメをきっかけに壊れたという点が大きく異なっているらしく、逃走劇の果に彼が見たのは幼い頃の記憶なのだった。ハンドルを誤った原因もそこに起因していて、こういうのに弱いんだ……。

ムロツヨシがなぁ。ムロツヨシ自体は好きなんだけど。

あと、これは余談だけど原作の 2008 年、映画化の 2016 年と本作の主人公:森田のようなキャラクターの扱いというかイメージ像も割と変遷が大きいような気がして、そういうのもおもしろいかもな。望月峯太郎を引き合いに出すと、『ドラゴンヘッド』のノブオのような人物が 2000 年の作品だったとかね。

ちょっと原作を読む機会をどこかで設けられないか気にしておく。

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