2022年の年末《MONDAYS このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない》を観た。うーん、タイトルが長い。

しかし、おもしろい。おもしろかった。この気持ちを、もっと早く伝えたかった。映画を観てからだいぶ時間が経っているのと、手元のメモも少ないので、おぼろげな記憶に頼りつつ感想を残しておく。

どこかで機会があったら、絶対見てくれよな。

大枠はコメディだが、ドラマもおよそ丁寧で、諸々どれもよかった。ところどころの演出は好みが別れそうだけど、そんなことはどうでもいいのだ。

この映画のユニークさとして、まずタイムループが冒頭から、というか、タイトルで明らかだ。そういう前提で見て、おもしろい作品になる、という狙いがある。

また、タイムループの原因が会社の部長にあることも、あらすじの説明や広報などで明記されており、作中で巻き込まれた主人公らは、皆が割と早めにそれを確信し、これも間違いではなかった。これも新鮮さを感じる。巧い。

冒頭、第一幕といってもいいが、主人公がタイムループしている事実を認識、納得するまでの過程がしっかり描かれており、逆にネタを知ってる身としては、じれったい。とはいえ、外堀を埋めていくようにループが証明されていく過程はおもしろかった。ある特定のキー行動で、ループを再認識する設定もユニークだった。

先にループを認識した部下たちから主人公へ、そこから上長らへとタイムループを説得する方法も変化していくが、それぞれの方法も一様ではなく、最後の砦となる部長へのプレゼンに至っては流石にベテランスタッフの説明は違うな(笑)という圧巻のプレゼンテーション方式で、これも笑わせてくれた。最高だったね。

おもしろいといえば、作中で主人公らの務める広告会社(あるいは制作下請けデザイン会社)がプロモーションする予定の商品もバカバカしくて、炭酸お味噌汁だっけ? ありえそうであり得ないパッケージだが、この売れそうもない商品をどれくらい魅力的にさせるかが問われるデザイナーの仕事も大変だなって……。

商品コピーの発案や外注先の選定など、ループを経るごとに手法や内容がどんどん洗練されていくのも愉快であった。

作品全体からは、主人公が転職希望先に出向いたときのシーンも忘れがたい。作中、ループ中では、社内での皆の行動にいろいろな変化はあるが、社外での行動が描かれるのは、このパートくらいで、ちょっと異色である部分だ。

電話口でさんざん無理難題を吹っかけてきたクライアントの男が眼前にあらわれ、キツいことを繰り返す印象の割に実物の物腰は柔らかなのが妙にリアリティを感じさせ、なんなら彼なりの中間管理職としての弱さまで見せられてしまう。

さらには、主人公が理想と仰いだきたデザイナーの個性の強さが、また面白くて、理想と現実のギャップみたいなところも明らかになる。

しかし、この理想のデザイナーの女性、やたらと咳をしており、映画としてどういうニュアンスだったのか、それが実は 1 番気になっている。

以下、核心に触れるので、ネタバレになる。

ループするほどカルマを背負う、あるいは負いきれない

ループの原因は、漫画家を目指していたころの部長の、漫画の編集者に渡せなかった未完成の漫画原稿であった。

この漫画作品に登場する女の子、何度目かのループを経た後にも漫画作中の主人公のもとに戻ってきてくれて「なんでかな?」 と疑問になったが、そりゃループするたびに彼女に出会って、手助けしてたんだな、主人公は、と納得はしたが……。

この漫画の主人公もループを繰り返すわけだが、たとえループしたとて、改善を試みれる物事、面倒を見れる物事の範囲ってのは限られているので、取捨選択が必要になってくる。自分の意思で選びうるものこそを、選ぶ必要がある。いい話だなー。

そう。ここからは個人的な妄想の話だ。

この漫画に登場する重要キャラクターとして、漫画内のループの原因ともいえる狐がいた。

そう。一方、映画の主人公の憧れのデザイナー、部長の同窓である彼女の特徴といえば、その咳であった。「コンッ! コンッ!」と……。つまり彼女は、部長の漫画における狐とパラレルな存在だったのでは!? という妄想に到達したのである。

あまりにも強引だけど。

映画の主人公が目指した未来、あるいは才能にあふれた若手時代の部長にとってありえた未来というのは、奇しくも憧れのデザイナーの彼女の人生のような社会的な成功であったが、それは反面、場合によっては狐につままれたような、理想といいうるかあやふやな身分でもあって……。

主人公にとって目の前にいたのは、やはり狐のような存在なのだというメタファーかもしれん。などなど……。

まぁしかし実は、漫画の女の子がどうして彼に寄り添ってくれたかというのも、上の理由とは別に説明のつく苦いポイントもちょっと隠されていたりして……。なかなか一枚岩の解釈を許さない手強さも感じている。が、そのほうが面白いから、くらいの仕掛けかもしれない。

どこかで機会があったら、絶対見てくれよな。

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