少年な大人なパピに何を見るか|《映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021》

《映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021》を観た。もともとの公開予定は 2021 年だった経緯でタイトルは「2021」だが、公開は 2022 年なので「2022」と間違えかねないですね。

いわゆる大長編シリーズのリメイクとしては「日本誕生」以来らしい。ほぉー。2018 年の《のび太の宝島》から映画ドラえもんの鑑賞に復帰した私だが、シリーズものを追い続ける楽しみをシミジミと感じるね、出来の良し悪しを含めて。

監督の山口晋、脚本の佐藤大を特別に知らなかったけど、調べてみるとキャリアは 2 人とも十分すぎるほど十分という感じで、そういう意味では盤石な布陣だったのだろう。監督は、このシリーズの映画監督を務めるために計画的にステップアップを重ねたらしい。頼もしい。

主題歌は Official髭男dism「Universe」だそうで、挿入歌は ビリー・バンバン「ココロありがとう」となっている。ビリー・バンバンが歌っているのは公開直前くらいに知ったが、プロデュース側の要望で入ったらしい。ちょっとモヤっとするが、ファン目線ではふつうによかった。ビリー・バンバンは最近こういうアプローチが多くて、なんなんだろうね。

実はコミックを読んだだけなので、過去の映画との比較はできないのだが、鑑賞中の第一印象としては終始に忙しいなと。どんどんと一本調子で話が進むというか。間の変化があまりない。個人的には「テンポがいい」というレベルで楽しめたが、付いていけないという感想はありそう。

もともとミニチュアであることがコンセプトの本作だが、今回はそれについて特撮という要素も重視したらしい。オープニングからして顕著でしたね。主には、ピリカ星の様子にそれは反映されていて、つまりミニチュアっぽさが強いワケだが、そのこだわりの反面として、イマイチ軽いかなぁ、という感じもしてしまった。

それでいいのかもしれないけれど。なんならそのこだわりは、たとえば、しずかちゃんのドールハウスにも見たかったな。可能かは知らんけど。

エクスキューズから入ったが、もとからあった作品から練られた脚本の工夫も、挟まれるギャグも個人的にはクリーンヒットが多く、大いに楽しませてもらった。

その他、気になった点などを挙げておく。

パピの離脱タイミングが絶妙でした

最大の変更点といってもいいのではないか。パピは小惑星基地までは同行する。これが何を意味するのか。ドラえもんチームとパピとの友情がもっとそれらしくなった。

映画ドラえもんでいわゆる味方側のゲストキャラクターが深く絡むパターンだと、その関わり方が難しい。今回はパピが仲間たちと一緒に過ごす時間がそれなりに濃い。

冒険に後ずさりしているスネ夫に対し、謝罪と感謝をパピが述べるシーンはなにより良いし、その後に聞き耳を立てていたみんなが転がり込んできて、皆で笑うシーン、本作でも白眉でしょ。

ノラ猫はなぜ協力したのか

これも改変で、人質交換においてパピは猫を使役した。原作(おそらく元の劇場版でも)では、超能力染みた演出で猫を懐柔していた。今作では、意思疎通するための道具を食べさせていた。

つまり交渉して協力してもらったんだろう。無理やり従わせるよりは理屈も通ってるし、これはこれでよかった。けれども、欲を言えばそれであれば、猫の処遇というか、その後の姿についてせめてもうワンカットというか、何かが欲しかった。

輪郭の白い光沢はなんなのか

作画最大の鬼門とも思えるスネ夫の髪型だが、フサフサとしていた。揺れる髪型のいわゆる枠のあたりに光が入っている。これ、スネ夫だけかと思ったが、ドラえもんの頭の輪郭なんかも光っていて、ほかのキャラクターの輪郭も照っていた。

どういう効果を見込んだデザインなり描写なんだろうか。背景から浮き出させるというのはあるんだろうけど、そういう理解でいいのかな。

ロコロコが可愛いじゃないか

ロコロコね、基本的にアクが強くて鬱陶しさも強いキャラクターだと思ってたんですよ。少なくともコミックを読んだ感触においては。ところが、本作では「お喋りが長い」という特性もほとんど影を潜めて最後にだけ開陳されるだけだった。これも賛否両論ありそうだけど、個人的にはアリかなと。可愛かったもん。

声もよかったんだけど、ロコロコが喋りはじめるときに流れるテーマソング? のようなのがよかった。テンテケチャカチャカみたいな電子音のような音楽なのだが、楽しい。もっと聴きたかった。

パピの演説は沁みた

クライマックスで披露されるパピノ演説、おそらく原作よりも身振り手振りも追加され、迫力のある内容になっていたのではないか。今回の作品、手の描写も個人的にはいいなと思う箇所が多かったが、このシーンのパピの動きは最高だった。

あまり声優さん云々で話したくもないのだが、朴璐美が演じるパピのスピーチはいろいろとオーバーラップさせられるものがあり、圧倒されてしまったよね。

以下、監督のインタビューなど、目についた記事のリンクだけ張っておく。