『三つ目がとおる』をどのシリーズで読むか考えたことがあるか

しばらく更新が滞っていた。そろそろヒッチコックマラソンも再開したいし、今年は読了した書籍のメモなども載せていきたい。特別に忙しいわけではないが、どうにも進まない。これはよくない。

ということで、もなにもないが今回は、手塚治虫の『三つ目がとおる』についてメモを残す。Wikipedia や Amazon で収集した情報を自分なりにまとめ直しただけで大した内容ではないハズだが、誰かの役には立つかもしれない。

キッカケだが、Kindle で或るバージョンの第 1 巻を手に取った。だが、読んでみると明らかにこの第 1 巻は本シリーズの 1 作目ではない。この問題については、カスタマーレビューにも似たような発見、不満が書かれていた。だがこれは、 Kindle のせいではなくあきらかに原本がそのようになっている。

どうしてこうなった?

前提として『三つ目がとおる』は 1974 年から 4 年間、「週刊少年マガジン」にて連載された作品だ。調べた限りだと、以下のようなバリエーションで単行本やら文庫やらになっているようだ。本当は書誌情報などをていねいに洗うべきなのだが、まぁやりません。ざっくり調べた範囲で、発刊年代順にしたつもりだ。

  1. 講談社コミックス(全 6 巻、-1978?)
  2. 手塚治虫漫画全集(全 13 巻、1977?-1984?)
  3. 講談社コミックスペシャル(全 8 巻、1986?)
  4. 講談社コミックスグランドコレクション(全 8 巻、1996?)
  5. 講談社プラチナコミック(全 14 巻、2003?)コンビニコミック
  6. 講談社漫画文庫(全 8 巻、2008?)
  7. 手塚治虫文庫全集(全 7 巻、2010-2012)
  8. 復刻名作漫画シリーズ GAMANGA BOOKS版(全 10 巻、小学館クリエイティブ、2012)
  9. 三つ目がとおる 《オリジナル版》 大全集 (全 8 巻、復刊ドットコム、2019)

1~7 は講談社の発刊物だ。2.の全集は 3 期にわけて計画されたそうだが、「三つ目がとおる」の掲載時期に被っている。おそらく第 3 期に発刊されたと思われる。その後、10 年や 5 年などのスパンでさまざまな形態で発行されている。

8 は小学館クリエイティブの古典マンガの復興企画のようだが、よく調べていない。7と時期が微妙に重複している点が少しだけ気になる。

9 の復刊ドットコムの版は現行で最新版だが、これは雑誌掲載時の原稿と形態、話の展開を可能な限り再現したバージョンであるらしい。

暫定的な結論を述べれば、Kindle あるいは紙の書籍で買うのであれば、7 がよさそうだ。現段階では、7 と 8 の差がよく分かっていないのだが、どうも内容にそこまで差はないように思える。そして、どうしても掲載時のオリジナルに近い状態で読みたければ 9 という選択肢が考えられる。それについては以下のページに詳しいので、ここでは割愛する。

私が最初に遭遇したのはなんだったのか

キッカケとなった問題を扱う。手塚治虫に限った話ではないが、およそ連載作品というのは、単行本化にあたって手直しが入る。そして殊更、本作についてはそれが大きかったようだ。私が最初に手に取ったのは「手塚治虫漫画全集」版(上記 2)を Kindle 化した第 1 巻だったようで、一方の「手塚治虫文庫全集」(上記 7)の Kindle 版も存在するのだ。リンクは以下の通りだ。

なぜこうなったのか。ここからは、 Wikipedia (三つ目がとおる)の記述をそのまま引用するが、以下のような原因があるらしい。

『手塚治虫漫画全集』の刊行に当たっては、当時6巻まで発売されていた講談社コミックス(KC)版を打ち切りにし、その続きから優先して全集に収録されることになった。このため全集への収録順序は連載時の順序と大きく異なるものとなるが、「講談社コミックスペシャル(KCSP)」 以降の版では本来の順に戻されている。

Wikipedia:三つ目がとおる 作品の改変等について

なるほど、コミックス版を切ったものの、そこまで購入していた読者を待たせるわけにもいかないという判断から、コミックス版の続きをスタートとして全集に収録したという経緯だろうか。よくこんな手段を取ったな。

だが、この特異な状況にあるのは「手塚治虫漫画全集」(上記2)だけであるようだ。

ところで、また、「手塚治虫文庫全集」(上記7)では、このバージョン以前までオミットされていた以下の各話が収録されているらしい。これは、Wikipedia (手塚治虫漫画全集)の記述だ。

『三つ目がとおる』は下記の未収録作品が収録されている。
「分福登場」「給食」「猪鹿中学」「長耳族」「舌をだすな!」「七蛇寺の七ふしぎ」「カオスの壺」「メダルの謎」「スキャンダル」

Wikipedia (手塚治虫漫画全集)

Kindle なりの問題点もある

今回たまたま発見したのだが、Amazon Kindle サービスの悪癖にも遭遇した。先ほどリンクを張った『三つ目がとおる 手塚治虫文庫全集(1)』のページだが、ここに掲載されているカスタマーレビューが実は、小学館クリエイティブの GAMANGA BOOKS版 (上記8)と併合されている。これは明らかにミスだろう。2 巻目以降では発生していないので、一括操作で生じたエラー的な事象なのだろうが、これが GAMANGA BOOKS版 の発見に繋がったという救いもあるのだが、混乱も生んだ。

どのバージョンを読めばいいか

先ほども書いたが、あらためてまとめる。

Kindle で読みたければ「手塚治虫文庫全集」(上記7)がモアベターだろう。連載順を操作されたバージョンを敢えて読む必要はない。ついで、紙で読みたい場合だが、やはり「手塚治虫文庫全集」(上記7)がおそらく書店ではもっとも入手しやすい。

そして雑誌掲載時の状態、あるいは作品全体の手入れ前のクライマックスを堪能したければ復刊ドットコム版でもいいのではないか。割と高額、かつ場所もとりそうなので、最終巻だけこれを買ってみるというのもありかもしれないなと個人的には思う。どうもクライマックスにもバージョンごとの相違がかなり大きいようなので。

とここまで書いてボンヤリと思い出したが、10 年近く前にも同じように混乱していろいろと調べていたことを思い出した。当時はバリエーションの多さに負けて、わけが分からないまま撤退した記憶がある。