映画《アルプススタンドのはしの方》を観た。原作は戯曲・演劇だそうで兵庫県の、県立東播磨高等学校の演劇部顧問、籔博晶氏による作品らしい。それが人気を博し、世に広がった末に映画化となった。このような成り立ち故というか、本作の特徴だが、甲子園の 1 回戦を応援する状況を描きながらフィールドは一切登場しない。
あくまで「アルプススタンドのはし」が主役なので映るのは、ほとんどそこのみだ。ロケに使われている球場はあきらかに甲子園ではないのだが、Wikipedia によれば交渉はされており、実現しなかったようだ。残念やね。キャストも高校生役であることも前提になるが、若手主体で新鮮だった。ちょっと高校生を演じるにはどうなのという雰囲気も序盤にはあったが、まぁ些細な問題か。エンディングのための含みもあったのだろう。
コメディっぽさ、それこそ舞台でみるような小ネタの挟み方もあり、登場人物たちの高校生ならではの青春のアレコレもあり、そこそこに楽しめた。予算も小さいだろうし、ちょっとしたいい話というスケールの話だが、こういう作品を鑑賞する機会が年に何度かあってもよいなぁ。ポテンシャルを感じさせられる。
大きなファールが飛んでいく、飛んできたときの間の長さ、目線の方向がトンチンカンに映ったのが気になったけど、これも計算の範疇ということなら文句はない。あと、映画版のオリジナル脚本らしいが、茶道部に全国大会なんてあるのか? という疑問がひとつ。
もともと縁のある(同じ演劇部の)安田と田宮、そこに元野球部の藤野、孤独な成績上位者の宮下を加え、本来は仲良くなるはずもなかったであろう 4 人が試合の終盤には打ち解けているというのは如何にも青春っぽくてよい。オチの回収もオリジナルなんだろうけど、おもしろかった。
前述のオリジナル脚本の展開を頼れば、このあとも 4 人は近からず遠からずよい友人関係を築いていったのかなという推測も成り立って、清々しい。
Last modified: 2020-08-17