『ボールルームへようこそ』の 10 巻を読む。

月刊少年マガジンで連載中の作品だが、実質は不定期連載のようになっており、突然の終了はないだろうと思うが気が抜けない。また、今回は本巻の Amazon レビューで知ったのだが、2017 年放映のアニメが展開を先行したらしい。昔はこのようなことがよくあったような気がするが、最近でもあるのだなぁ。

そして、先行した展開の内容だが、この 10 巻に収録されている最後の話以降(数話くらい使うかな)で披露されるはずで、さらにそれは 2020 年 2 月号( 1 月発売)以降から掲載予定だったが、さっそく 2 月号で休載となった。楽しみが次号以降に持ち越された形だ。歯がゆいものだ。

というわけで、存在を知ってしまったからには無視して話を続けづらくもなったのでアニメを最終話だけみたが、全体のトーン(ここでは主にキャラクターの感情表現)がアニメ向けにメリハリ付けられているなぁというのがひとつ。しかし、原作の線が割と生かされたデザインだなぁというのも思った。最後に、予想した展開がちょっとばかり違うなというのがある。ただまぁ、これは作者のチェックは通っているのではないかな。

10 巻の話に戻る。ちょうどいい機会だからと 1 巻から読み返していたのだが、本シーズンのライバル釘宮方美だが、彼の若い頃はまさに主人公の富士田多々良に被るのだなぁと認識した。釘宮は幼少期(小学生までかな)はボゥッとした少年で、職員室での先生の注意も上の空で窓の外を眺めていた。これは中学生の富士田が進路指導をやり過ごしていた描写と同じくみえる。

まぁ要点としては、釘宮にしても急成長する富士田と同じ舞台でガチで踊ってたらやっぱりダンス楽しいなぁという原点回帰してくるところだろう。兵藤にせよ、赤城にせよ、富士田を通して同じような契機を得ている。

釘宮の話をしておいてなんだが、10 巻の最大のハイライトは富士田と緋山の平衡(カウンターバランス)がとうとう成立をみせる描写だ。富士田を本当の意味での額縁たらしめた緋山が、彼女自身も富士田自身からパートナーとして花開いていくという状況をあのように描かれると降参するしかない。よいものだ。

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