2019 年に観た《ブラインドスポッティング》(2018)の記録だ。

カリフォルニア州はオークランドに暮らす黒人青年コリンと幼なじみの白人青年マイルズの物語。演じているのは、ダヴィード・ディグスとラファエル・カザルの 2 人だが、彼らはもともと長年の友人で、2 人して本作の脚本も手掛けているのだそうだ(どこかの解説で読んだが、ソースを見失った)。

物語の主人公、青年コリンは小さな事件を起こして保護観察処分を受けている。11 か月間オークランドの所在郡から抜けられず、門限 23 時の寮生活を強いられている。本作は残り 3 日となった期間に起きる出来事を 90 分で描く。

もともとオークランドは多国籍的な町だそうで、かつては中国人街、日本人街なんかもあったらしい。Wikipedia によると現在の市長も中国系アメリカ人のようだ。同州シアトルの興隆もあって、リッチな技術者やそれに類する思想をもった人らもちょいちょい移ってきたりとしたことで、街の様子も変わりつつある。そのへんの軋轢も描かれている。

白人のマイルズは根っからのオークランドっ子でコリンとは昔なじみの親友であるし、黒人の妻と娘を抱えて暮らしている。彼は喧嘩っぱやいヤンチャな問題児として描かれるが、マイルズのやんちゃさは、白人だから許されているという側面もあるようで、同時にそれゆえの歯がゆさも並立している。

黒人のコリンは基本的に温和な人間だが、処分のきっかけになった事件、そして映画冒頭に目撃した事件によって精神が不安定になる。トラウマとすらなった葛藤はクライマックスで爆発し、クライマックスにして本作最大の見どころであった。

しかし、彼の爆発の対象もまた、コリンやマイルズと同じようにさまざまなトラブルを抱えた小さな人間のひとりであり、また同時に同じオークランドに居を構える仲間なのであった…。渋い。

タイトルの「ブラインドスポッティング」に呼応するシーンだが、コリンとマイルズの画廊での労働中のある一幕が呼応していたように思う。

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