最近になって Amazon Prime で解禁されたと知って同サービスで鑑賞した。3 時間越えの長編作品で、主演がロバート・デ・ニーロ、メリル・ストリープの映画初出演作といった点が今に通じるところか。長くて要領を得ない映画のようにも思えるが、味わいが深い。

Amazon の評をみていると戦争に焦点をあてたレビューが多いが、適当には思われない。本作の最大の問題点は、ニックの葛藤のしょうもなさにある。それが、ベトナム戦争、ロシアンルーレット、鹿狩りなどに分けて表現されている。脚本に突飛なところがあるようにも見えるが、ニックの無様さに焦点をあてれば、そこはどうでもいい程度かなぁ。

背景事情は知らぬがマイクとニックは同居しており、マイクはニックに対して重く信頼を置いている。これがまず大前提である。マイクは仲良しグループのなかにあっても、鹿狩りに彼らと一緒に出掛けるのはニックが居るからこそだと彼に直接、伝えている。ニックはグループのバランサーだ。

同時に、ニックとスティーブンの関係を見たおきたい。スティーブンとアンジェラの結婚パーティーで、この 2 人は、始めから終わりまで踊りつづけている。年齢が近いからだろうか、2人の仲がよいことが分かる。そしてこれは、スティーブンが重大な秘密を、ニックに明かしたことからも察せられる。

さて、ベトナム戦争従軍後、半身不随となったスティーブンに対し、現地に残ったニックから多額の送金が行われる。スティーブンは送金主がニックであることに気が付かなかったようだが、マイクは即座に事態に気がつく。スティーブンの相談した重大な秘密の根源にいたのは、ニックに他ならないことが、あからさまではないが、確実に鑑賞者に知らされるのである。

正面からは明かされないこの秘密の答えが、いかにも本作の味を出しているのはツラい。彼らの日常であった友情も、ニックの帰りを待ちつづけるリンダの心情も、あまりに頼りなくて儚いものになってしまうからだ。

ニックの秘密を知るのが、アンジェラ、マイク、スタンリーだけだとしたらこれもまた絶妙なところで、スティーブンは最後まで知らなかったのだろうか。リンダもである。まるで道化ではないか。

ニックを連れ戻そうとしたマイクの心情はどうだ。それは他の誰のためでもなく、あくまでマイクの本心であった。それは友情だったし、愛情でもあったが、その真髄はまた客観的に鑑賞したところで理解も納得も、共感もしづらい。いっそのこと真心とでもいったほうがグッとくる。ニックを許しうるのはマイクのみなのだ。

そういう意味でみてみると、本作というのはとてもプライバシーな映画なんだなぁと思う。とても打ち解けた仲間同士ではあるが、個々の心情の深いところは共有されない。それでも彼らは仲間なのであった。

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