『BADON』を読んで、気になったので再読した。内容もすっかり忘れていた。「さらい屋」とあるのに本編がそれであることも気づかない。大丈夫だろうか。読みはじめて、あぁそういえばこんな作品だったなと記憶が追いついた。

購入履歴を確認すると、『ふたがしら』を先に読み、そこからこちらに入ったらしい。Wikipedia に拠れば、オノナツメは『さらい屋 五葉』を5年ほどかけて描き、その後『ふたがしら』を6年ほどかけて描いたようだ。

そうだよなぁ、当時にどれだけ意識していたかわからないが、やはり(著者の経歴として)若い作品を読んでいるなという感覚があったことは、うっすらと覚えている。ただ、関連作品であることは読んでいる最中まで知らなかったはずだ。

結末にかけての展開が性急なようにも感じるが、そもそも物語が進むときってのは急な出来事が起きているってこったな。と思えば、特別におかしな展開でもない気もした。

私が年をとったからかもしれないが、弥一にそこまで魅力を感じないのだよな。五葉のメンバーが彼に負われるところがあるのはわかるが、それがそこまでのものなのかね、と思ってしまう。

もちろん、作劇上、弥一の仮面が剝がれていくさまを読者は読むので、それがなおさら、登場人物ら以上にこのような印象を強める構造にはなっているとは言えるだろうけれど。

それを言ったら秋津の人間像もよくわからないというか、彼自身が侍であることに、どういうこだわりがあったのか(こだわりが強かったのはわかる)、それを捨ててまで仲間を救うことに、どういう懸けがあったのか(弥一との関係性という意味でも)、なども割と難しい。

ほかのメンバーも然り。

いや、決してツマラないというわけではないが、なにかと心残りがある。

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