Obsidianでのファイル管理にあたって色々と試行錯誤していたが、昨冬に「PARA」メソッドのことを知り、これに基づいてファイルを管理したらすげぇ楽じゃんということになった。管理と言うほどのこともない気すらしてくる。

ティアゴ・フォーテ (Tiago Forte)というひとの提唱した概念で、というかPKM界隈でいうところの「SECOND BRAIN」の提唱もこのひとらしい。まぁこのへんは突き詰めると諸説ありそうだけど。

で、PARAの概要は本人の運営するブログでほとんど読める。ついでに、おそらく勝手に全文を翻訳しているひともいるので、日本語でも読める。

ということなんだけど、2023年3月に東洋経済から『SECOND BRAIN 時間に追われない「知的生産術」』が発売されていたので、ようやくというか、こちらを読んだ。そのメモを残そうと思う。

ざっくり言うと「時間に追われない」というサブタイトルは的外れというかマーケティング目的にしてもちょっとなという感じで、まぁしょうがない。もちろん、そのように読めないこともないし、究極的には合致する部分もあるだろうが、そういう前提で書かれてはいないので。

原書のタイトルは「Building a Second Brain: A Proven Method to Organize Your Digital Life and Unlock Your Creative Potential」であって、ざっくり「第二の脳をつくる: デジタルライフを整理し、創造力を引き出す実証済みの方法」という程度の意味だもんな。

本書で注意深くティアゴが提唱しているのは「ファイリングシステムではなく生産システム」だという点で、まぁ心に留めておきたいですね。といっても、具体的な道具論とか手順まで落とし込まれていないので、そこは各自工夫したまえ、という体でもある。方法の概念書ではあるが、具体的な手引書ではない。

なんなら最初はスマートフォンの標準搭載のメモ機能でもいいというし、時代や変遷で道具を変える、その必要が生じるのは当たり前ですらあるかのように言う。まぁ、そうなんだけど。著者はEvernoteを使っていたようですね、この書籍を書いたあたりでは。

また、Omnivore の発起人もそうだったんだけど(ソースが見つからんが)、ティアゴも Read-it-later をめっちゃ重視するんすよね、結局、インプットからしか始まらないという当たり前の思想がここにはあるわけで、はい。

それがセカンド・ブレインという概念につながるわけだけど、まぁこれも別に新しいことを言っているワケでもない。新しいのは、情報の収集から発信までのプロセスを「CODE」というメソッドとして捉えていることだ。

「Capture」「Organize」「Distill」「Express」という4段階で説明、整理している。ついでに言及しておくと「PARA」メソッドは、2段階目の Organize にて機能するということになる。「PARA」については、ここでは触れないけど。

「Capture」では自分の人生におけるテーマみたいな質問を12個くらいテキトーにリストアップすることが推奨されている。で、そこに響くものを収集せよ、メモせよということになる。なるほど。

「Distill」を本書では「本質の抽出」のように扱っているが、これは面白かった。あるいは「ハイライト2.0」「プログレッシブ・サマライゼーション」と命名していた。

これも自走学習できる人にとっては当たり前のことかもしれないが、つまるところハイライトによる要約を何段階も減ることで、対象トピックの自分にとっての重要事項、あるいは本質を取り出せという話だ。

この作業、インターネットや電子書籍の当然のような利用によって圧倒的に手間が減っているハズで、我々はなんとすばらしい時代に生きているんだろうね。とはいえ、電子書籍においては Kindle かあるいは Kobo でしか実現できないのが口惜しいですが…。

最後の「Express」は、仕事でも個人的なことでもいいけれど、まぁとかく消費行動に終わるのではなく生産行動をしなさいよと、ティアゴはこのことを強調している。そうでないと意味がないよと。ということで、私はブログを書いているワケだが、まぁそこは人によって、目的によって、夢なんかによってやることは変わってくるやろな。

総じて、ユニークというか、読んだ甲斐はあったし、Obsidian を使ってやること、やっていることには現状から大きな変わりは生じないように思うが、それを確認できただけでよかったし、ライフハック的な啓発もひさびさに浴びられた。

まぁ、またなんか書き足したいことがあったら書く。

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