2023年の年始、刑事姿をした阿部寛への飢えが止まらず《麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜》を観た。この作品、原作やテレビシリーズはまったく知らなかったが、この次作の《祈りの幕が下りる時》は劇場で見ていたので大体の枠組みは知っていた。

日本橋の橋の麒麟像の前で腹部に刺傷を負った男性がたどり着き、折り鶴を捧げて亡くなった。この男性は誰に? どうして? 殺されたか。という、事件を追う。

並行して、その容疑者らしき男が事故にあって亡くなる。つっても物証があるくらいで、動機は見当たらず、なんなら金銭目的ということになりかねないが、でも…、みたいなところを足を使って真相を求めていく。

キャストは豪華で、原作が2009年くらい、TVドラマが2010年、この映画が2011年と、凄いダイナミックに作品のメディアミックス展開が進んだようだが、当時の売り出し中の俳優たちが軒並み出てたんじゃないのという豪華さがある。今となってはかなり懐かしい顔も少なくない。

原作の出来か、映画の出来かは判断できないが、映画としては次作の《祈りの幕が下りるとき》のほうが面白かったかな。今作もいろんな人間模様が織り交ぜてはあるが、映画としてはとっ散らかった感じが否めない。

事件自体も小粒というと語弊があるが、焦点は亡くなった男とその息子の家族模様で、そこに主人公の親子関係がオーバーラップするという仕組みだが(次作も一緒ね)、本件の親子の問題はなんだかなぁ、こういうことはありうるとは思うんだけど、全体としたとき、悲しい事故の継ぎ接ぎという以上の感想が生まれない。

そこが醍醐味といえばそうなのかもしれない。

被害者となった父を中井貴一が演じている。私、あんまり中井貴一の出演作は見たことが無くて『梟の城』のほかはミキ・プルーンの印象ばかりなのだが、役者としては嫌いじゃない。

というわけで、本作の好きなシーンだが、やっぱりこの父が日本橋で最期の折り鶴を捧げる箇所がよい。

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