受話する力がほしいか|《ブラック・フォン/Black Phone》

《ブラック・フォン/Black Phone》を観た。

ホラーというよりはサスペンスでは? という意見も見たけれど、ホラー要素交じりの脱出ゲームという塩梅に感じる。決して詰まらなくはないが、それ以上でもないかな。部分的には「ホーム・アローン」シリーズのようなギミック味もあった。これは個人的には好きだね。総じて佳作というくらいの映画でしょうか。気軽に見れるのはよい。

死者が生者にメッセージを送るというニュアンスとしては直近では《ラストナイト・イン・ソーホー》のほうが仕立てはおもしろかったが、本作の方がストーリーが単純な分だけわかりやすいさや納得のしやすさは強いかな。

あるいは《サマー・オブ・84》も似たような作品だが、本作はさらに時代を戻って 1978 年が舞台らしい。それにしても子供の誘拐物のホラーって米国作品には多いのよなぁ。しかも、割と男の子のパターンのほうが多い気がするけど、これはどうなんでしょうね。

あと珍しいことでもない気もする一方、70 年代後半から 80 年代を想起させる作品も地味に増えているような感触もある。これは個別に見ていかないと何とも言えないけれど。しかし、たとえば 2000 年代に 1960 年代頃を土台にした作品が多かったのかというと、そうでもないと思う。

あんまり書きたことも無いんだけど。

  • 妹が神様に祈ることで夢見の能力を顕現させるが、それは諸刃の剣でもあるというニュアンスがやや弱かったようなのと、その微妙なオカルト部分は作品全体のテーストからは浮いていたよな、少しばかり。
  • 連続誘拐犯グラバーの発言に「昔、俺も電話が鳴ったのをみた」みたいな発言があった。サイコパス的な彼の背景はほとんど語られないが、この発言から少しばかり予測はできる。んだけど、別にそれが深みを与えてるかというと、そんなこともなく。

妹が親父から折檻されているシーンがよかった、というと語弊があるが、なんというか妙に生々しいというか、深読みしていくなら、副次的にあらわれたテーマはこっち、みたいな話の振り方はできそうかもしれない。

妹のグウェン役のマデリーン・マックグロウは、そこかしこに光る演技を見せていた。

下記のインタビューだけ読んだが、別にグラバーには暗い過去などは無いらしく、それはそれでいいんだけど、だとすれば狂気感の演出をもっと増やしてもいいのではとも考える。

S・キングが「地獄の“スタンド・バイ・ミー”」と表現――恐怖と郷愁がせめぎ合う『ブラック・フォン』監督が込めた思い