《100日間生きたワニ》を観たよ。

原作の『100日後に死ぬワニ』だが、タイトルの趣味の悪さとブームの広がりの気味の悪さが相まって、私は最初から最後まで距離を置いていた。タイトルについては普段は気にならない程度のケレン味だが、どうにも今作では引っかかった。

そんな作品イメージだったが、直感として映画は面白いだろうなと思ったので、見にいった。

動物が人間染みた社会を作って生活している。類例を挙げれば、直近の作品なら『Beastars』、永遠の名作ならアンパンマンが思い浮かぶ。ところで、本作の主人公のワニは上半身はほとんど裸で、靴も履いていない。他のキャラクターは着用していることが多い。深い意図があるのか気になったが、まぁいいか。

彼は裸足だもんだから、映画ではペタペタという足音が聞こえる。原作にこのような音が表現されていたかも気になる。

ワニとネズミとモグラがマブダチっぽくて、フリーターかしらんが学生である様子はなく、バイト生活しているようだ。90 年代くらいの日本社会のような状況だろうか。プロゲーマーを目指したり、彼女を作ったり、結婚を意識したり、といったノンビリかつほのぼのとした青春(のちょっと後か)が描かれる。

時代設定というほどのアレがあるのかわからないが、ハイブリッドな感じはする。

ワニが亡くなったのち、彼らのコミュニティに町に越してきたカエルが加わることになる。ここからが本作のオリジナルエピソードだ。

カエルは蝶ネクタイをして、なんかオシャレな上着を羽織っている。下はよくわからない。ざっと見た感じ、ワニと対比できる格好をしている。ただし、カエルも裸足なので、彼の足音もペタペタという。うまい演出だなと。

本作の前半にあたる原作のエピソードとオリジナル要素を繋ぐのは、ネズミの存在が大きい。カエルが弱みをみせる直前のタイミングでネズミの横顔(だよね?)が超クローズアップされて、画面がほとんどネズミ色で埋まった。

このとき、キャラクターのデザイン的な面もあって、ネズミがどういう表情だったかは読み取れないけれど-これもおもしろいよなぁ、目の前のカエルと自分がほぼ同じ立場に置かれていて、似たような苦しみに面していることを、彼が自覚したことはわかる。

うーん、最高のシーンだ。これはいい。観にいってよかったなぁ…。

ところで、彼らの使うガジェットはスマートフォンだが、ワニはなにかとタイミングで記念撮影を重ねる男だった。そいでこれを写真として現像するマメさも持ち合わせている。この辺も、懐かしい雰囲気がある。

ネズミの最後のアクションは、なにかしらの区切りであり、継承なんだと思うけれど、このシーンも地味に好きだね。

余談だけれど、カエルの蝶ネクタイは監督の上田慎一郎を連想させられたよね。こういうのも面白かった。

四コマ漫画の映像化、特に映画化というと『となりの山田くん』や『生徒会役員共』などはパッと思いつくが、まぁやっぱりそれなりの工夫が求められるものだよなぁなどとも思う。こういったポイントを取り扱った話とか、どっかに転がってないかな。

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