『アンタッチャブル』《The Untouchables》を観た。ショーン・コネリーが亡くなったということで本作が少し話題になっていた。その流れで観た。

ショーン・コネリーといえば 007 シリーズだが、断片的に見た記憶しかない。『薔薇の名前』も部分的にしか見たことがない。『ザ・ロック』は TV で見たことがある。あとは『レッド・オクトーバーを追え!』あたりだろうか。こちらも未見である。

本作の上映年は 1987 年ということで、33 年ほど前の作品だ。舞台は禁酒法時代のシカゴということなので、1930 年前後を描写しているはずだが、撮影された景色がどれだけ当時を再現しているのかは皆目不明だ。

特に、結末部分とエンディングで活用される摩天楼はまさしくシカゴという雰囲気だが、これは 1930 年代にはあったのか? どうなんだろう? と思ってたら高層ビル群の建築ラッシュも同時代に被っているらしい。ということは、当該年あたりに建造されたビルなどをちゃんと選定してロケーションしているのだろうか。

なお、登場人物などの背景設定は実話に基づいているが、具体的な話の進行はほとんどフィクションのようである。

カナダ国境での逮捕劇や主だった仕立てが西部劇っぽい。銃撃戦での乳母車が階段を下りていくシーンは『戦艦ポチョムキン』か。ジム(ショーン・コネリー)が自宅で襲われるシーンやラストのネス(ケビン・コスナー)とニッティの屋上での追走劇などは部分的にはあきらかにヒッチコック調だ。という感じで、オマージュというか引用というか、名作にインスパイアされたと思しきシーンがたくさんある。

敵であるアル・カポネ役ことロバート・デ・ニーロにせよ名俳優がたくさんいるわけだが、ストーン役に抜擢されたという駆け出し時代のアンディ・ガルシアがいい。イタリア系の若手警官という立ち位置のようだが、まぁピッタリだ。上述の乳母車でのアクションシーンが最大の見せ場であるが、総体的にかっこいい。

なにより、ジムとの絆がさり気なく描かれているのが好い。

当初は手垢で汚れていない新米警官を探しにきたジムにケンカをけしかけられ、隠し持っていた私物の銃を即座に構えて応戦の姿勢をみせるところは最高で、イタリア出身ということでの喧嘩っ早さ、マフィアの本場であろう凄みを見せる。

チームとソリが合わない問題児になる展開か? と思えばそんなことはなく、ストーンはストーンとチームの一員となり、他の 3 人のメンバーと打ち解けている。立場をわきまえる自制心と知性がある。

こんな調子で見せ場が割とあるんだが、ジムが絶命してしまうシーンでの描写もなかなか良い。ネスとジムの友情は割と明らかにされていたのだが、息も絶え絶えのジムの側に、ストーンもすり寄っていって篤く手を握る。ちゃんとジムとストーンとの間にも絆が芽生えていたことが分かる。

深夜の駅でアル・カポネの有罪の決め手となる帳簿係を捕まえに行くとき、ネスとストーンの間で交わされるやり取りが最も好みで、本心では仲間を 2 人も殺されてしまった怒りで復讐したいくらいなのだが、どちらも任務のための姿勢を崩さない。やっぱりここでもストーンがいい味を出しているんだ。

ラストの法廷劇からさらにアクションに繋がったのはちょっと意表を突かれた。私刑ではない(としたい)が、仲間を殺してきた暗殺者にそれなりにバッドな最期を与えられたのも映画としては満足度が高いかな。

エンディングではジムの遺品がネスからストーンへの引き継がれるが、このシーンも上がりますね。というわけで、個人的にはストーンの印象が濃い作品であった。

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