VTuberグループReglossの2ndアルバム『Snapshot』を購入したので、聴きはじめなりの感想を残しておく(大半の楽曲はすでに知ってはいるが)。Spotifyほか配信サービスで聴けるが、木端のファンとして久しぶりにフィジカルの音源を手にしてみた気合も反映されている。

もともとホロライブは暇つぶし程度に見ることはあったが、この世代(Regloss)からは従来から方針をやや変え、メンバーでの活動、楽曲や踊りを中心にした活動を強めにしている。

4人のメンバーの実年齢などは知らないし、実際にそこまで年齢差はないと思うが、年長組2人、年少組2人といった構成と思われる。ちなみに、2025年10月まで在籍していた火威青は中間くらいの年齢だったのではと、今になっては思うが、それを考えてもしょうがないね。

それとは別に、それぞれのキャリアが面白い。このグループに深入りするキッカケになった儒烏風亭らでんは、カメラ関係の専門学校から大学に入り直して学芸員資格を取得するレベルまで学業を修めており、アート方面を中心に造詣が深い。それを強み、目的として活動しており、現在時点ではそれなりに順調そうである。

音乃瀬奏は韓国出身のようで、もともとは音楽学校に通っていたらしい(現状は知らん)。だからということもなかろうが、メンバーの中では歌がもっとも上手い。日本語の熟達度も言わずもがなの高レベルである。言われなきゃ外国語話者だとはわかりづらい、そもそもキャラ作りがある程度なされていることを前提にしてもだ。

一条莉々華の特色はよくわからないが、場を回すのは巧いし、帰国子女らしく英会話は堪能だそうだ。この辺、音乃瀬奏をフォローしやすいバックグラウンドであり、それなりに想定されての配置と思われる。大概、最初にトーク役が回ってくるのでリーダーだと思っていたが、そういう取り決めはないらしい。あぁね。

轟はじめは、ダンサー出身らしく、そのバックグランドはよく知らないけれど、3Dモデル越しでも踊りのキレのよさが伝わってくる。本人も凄いが、3Dモーションキャプチャの最新技術も凄い。どこまで狙っているのかわからないが、滑舌の悪さが個性的だ。あと、音乃瀬奏が1番歌ウマといったが、諸々含めると、轟のほうが総合力というか、ポテンシャルは高いかもしれない。

と、まぁバランスがいい。なにより落ち着いて見ていられるのが大きい。相対的にガキっぽい振る舞いをすることが多いと思われる音乃瀬も轟もちゃんとするべきところでは想像以上にしっかりしているし、逆に儒烏風亭も一条もハシャグときははしゃぐ。まぁ、そのほうがウケがいいからな。塩梅であろう。

というわけで、曲の印象をざっと述べておく。

サクラミラージュ

このグループをちゃんと聴こうと思えた最初の曲なので、いまのところ1番好きな曲か。本アルバム、どういうコンセプトか知らないが、春夏秋冬にひとつずつの楽曲が収録されており、説明するまでもなく、本曲の季節は春だ。発表時は火威青も参加していたが、このバージョンは流石に別メンバーの声が充てられているので、違和感はある。

そこまで変わらないような気もするが、作曲の当初の想定とは異なることだろうから、やはりプロの仕事って凄いねとはなる、残念ながらね。ちゃんと聞き分けてないけど、4人それぞれが代わりに担当するように歌っているのではないかな。

歌詞でいえば「まだ夢半ば」ってところが好きですね。

ミッドサマーシトラス

いつのまにか配信されていた夏の曲だ。この曲もサクラミラージュ同様、抜けたメンバーの部分は代わりに歌っているバージョンとなっているようだが、曲全体としてはコーラスが多めにとってあるようにも思える、精査はしていないけどサクラミラージュほどの違和感はない。ただまぁ、もとのバージョンの火威青のパートを聴くと、ていねいに歌われており、よいですね。

何度か聴き込んでいるとサビの部分のメロディがややクセになることに気づく。しかし、歌詞にある「ダビング」とは、あのダビングでいいのかな? 若い人にはわからなそうだが、それも織り込み済みの歌詞だとしたら、ちょっとイヤだなぁ、なんてね。

アワータイムイエロー

アルバム発売の付近でのリリース。4人態勢になってからの初曲であることもあってか、気合が入っている。MVのアニメーションがよく動く。サクラミラージュから本格参入したにわかファンである私は、歌声の聴き分けが苦手なのだが、ようやく慣れてきたといったところだ。タイトルに「秋」と入っておらず、イエローで表されている。憎いね。

4曲のなかではもっともハイテンポで、秋の曲でこういう感じなんだと面白い気もするが、そのへんの感覚は人に依るだろうか。どの季節がスピーディーに踊りたくなる? なんて問われても返答に窮するものではある。

「例え ツキに見放されても」から始まる音乃瀬のパートからサビ(?)のコーラスに入っていく箇所がどうにもよくて、飽きないね。このへんの歌詞の言葉遊びも面白い。

SKAVLA

「SKAVLA」とは、風雪紋を指し、それは積もった雪が風の影響で削られて形状を作ること、その形状を指すらしい。北欧の言葉だそうだ。アルバムの発売時期はまだ秋であり、寒い地域ではすでに積雪がいくつか見られるようだが、それを踏まえても、この曲の真価はまだこれからなのでは、という感触はある。風の冷たいときに聴きたいね。

それはそれとして、突如のごとく現れる「Pandora」というフレーズが何を表すのかと歌詞を眺め、雑な解釈を試みると、SKAVLAは風の気まぐれでどういう形状をとるかはわからないので、最後に何が残るのかはわからないよーんって感じなのかな。まぁ、パンドラなんで、誰でもオチは知っているんだけども。

「Pandora」と「SKAVLA」の2つのキーワードが何故か妙に呼応して気持ちがいいね。

ぱんどっら、ぱんどぉーら。

Flashpoint

アルバムタイトルにあたる曲なので、いわゆる表題作だろうか。限定版の特典がカメラを模ったカードケース(?)という点からも、それを意識した曲であろうし、同じくそのコンセプトのアルバムだと理解できる。洒落て言えば、瞬間を切り取るというようなことなのだろう。

なかなか難しい歌詞と思うが、冒頭は「紙細工の花びらを ある人は 美しいとぼやいた」と始まる。そこで「ぼやく」という語はネガティブな表現なので、平たくいえば「美しい」という表現には直結しづらい。要するに「なんで紙細工の花びらが美しいんだよ」という反語的な嘆きがあると考えると…。

なかなか儚い歌なんだな、という気分にもなる。

2co1

ここから2曲は、儒烏風亭と轟、音乃瀬と一条のそれぞれコンビの楽曲となる。この曲は前者だ。で、どちらの歌詞にも渋谷でランデブーというようなフレーズがあり、要するに最終的には渋谷集合ということだが、アルバム発売と同時に渋谷の各地点で彼女らのボーナス音声が聴けるというイベントが開催されているらしく、それを意図してのことだろう。キャンペーンが細かいね…。

轟の歌のポテンシャルって高いんだなぁと先に書いたのは、この曲を通して思ったことで、要するに4人で歌うときは彼女はラップぽい早口のパートもやるし、ちゃんと歌うときは歌っている。どっちもできるのだ。逆に、儒烏風亭は本人は歌が苦手と言っているが、滑舌がよすぎるという表現が的確か不明だが、歯切れのいい発声、歌い方に寄っているようで、流れるような歌い方に慣れておらず、現時点ではラップぽいパートが増えているのだろう。

多分、イベントの音声を曲に反映した歌詞なんだろうと思う。

Bangarang

「Bangarang」とはスラングで「最高!」を意味するらしい。知らんかった。

英語多めの歌詞で、普段は上記の2人に回されがちな早口まわりの歌い回しが多いので、ちょっと笑ってしまった。4人の曲でやらせてもらえない分、こっちでやらんでかと。

が、やっぱり聴いていて思うのは、特に日本語部分だが、2人ともそれほどしっくりこない。ひとつ思うのは、彼女らの声はそれなりに作り声なわけで、おそらくそこが彼女らの歌い方と日本語早口の馴染まなさを生み出しているのかな? とは。いや、全然うまいんだけどね。

当然、個人の感想なので、悪しからず。

「現実なんて大体 Chaos」「遊び尽くしてよ 徹底的」のところの強さと遊びは好きです。

ソロ曲よっつ

Reglossの楽曲の作詞に携わっているのは、現時点まですべてOHTORAという方らしいのを今回で知ったが、まぁ彼女らに個性にあわせて上手く作るものだと恐れ入りました。ソロ曲にはそれぞれの意向も反映されてはいるのだろうけれど、着地点が見事だ。

落噺(儒烏風亭らでん)

本曲は言葉遊びが多く、流石に歌詞カードを眺めないと気づきようがない要素もある。楽しい。冒頭から曲が本格的に始まる「こちらでんでってって大変で」でもう笑うのだが、そこからひたすらに楽しい。しかし、「妙に面白いフラがある」の「フラ」とはなんなのか? わからん。

Cheerful Vibes Echo

本人も曲紹介で言っていたが、「俯いても 後戻りでも キミの向いた方向が”前”だ」という歌詞がよい。4人のソロ曲のなかでは1番好きかもしれない。まぁ、とにかく元気づくような印象の歌詞が散りばめられている。ふと思ったが、春夏秋冬に対応させるとすれば、このソロは夏にあたるわけとなり、他の3人が春、秋、冬となるが、この見立てはありえるのかもしれない。

Hapiness Phenomenon

決して悪い意味ではないが、なかなか難しかった。ソロ配信と比べて音の編集をちょっと弄ったのかなとも思った、というのは少し柔らかめに感じたからだ。アルバムにあるから聴きやすく感じただけだろうか。気になる。とまぁ、一条の挨拶の「かわいい! ポジティブ! ジーニアス!」というフレーズをそのまま敷衍したと理解すれば、納得的な歌ではあるか。これからの活躍に期待。

ビリラビリラ

「Hapiness Phenomenon」は直訳すればまだ意味はわかるのだが、「ビリラ」って何なのだろうか。ダンサーっぽい、挑発的な曲だなぁという感触があるのと、なんのこっちゃわからんが、macOSで作業してるんだなというのは理解できる。何をコピペしてるのかは、気になるけれど、まだちょっとわかっていない。でもやっぱり4人の曲のなかでは、いろんな要素があるという意味で1番難しいのではないかな、そして上手く歌っている。

XOVERLINE

12月のライブに向けた曲なのかな。12月のライブ用のビジュアルが「XOVERLINE」っぽい。プロモーションに余念のないことである。「xover」はもちろん「cross over」で、曲を聴けばハッキリするが「五線譜を跨がって」という部分に対応したタイトルなのだろう。

「XOVERLINE」というのも造語らしく、過去に生み出されたことが無いとは言えないが、パッとググる程度だと別に使われている様子もなく、作詞家ってこういうのを生み出すのが上手いなとなる。「気づけば 十一時を回った」という冒頭の歌詞はアルバムの終わり、そして四季の終わりすらも意識してのことであって、楽しく音楽やってこれからも続いていくけど、変化もあるよねー、みたいなフレーズが余韻を残していく。

やっぱり、歌詞が好きとなるとバシッとハマりやすいなぁ。

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